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 6章・行き過ぎたパチスロと規制 【4号機後期〜5号機】
 
 「1日に100万円以上出るマシン」。そんな夢物語が現実となった時が、夢の終わりになりました。

 各メーカーによる「やり過ぎ」が、14年以上続いた4号機を終焉させることになってしまいます。

 そして、ついに新しい規定「5号機」が誕生します。

 最終章となる本章では、主な規制内容と、現在までの流れについて語っていきます。


 
 【1】初めての日電協自主規制 〜4.1号機/4.5号機

 獣王から始まった
爆裂ATブームは衰えを見せず、むしろ、獣王を凌ぐほどの爆裂性を持ったマシンが続々と登場しました。

 「コンチ4X」、「爆釣」、「ゴルゴ13」、「サラリーマン金太郎」、「神輿」、「アラジンA」などなど・・・。
 特に
アラジンAでは、7万枚オーバー(等価交換で140万円)を記録するなど、その勢いはとどまることを知りません。

  

 ⇒ 参考記事 : 懐かしのぱちすろ名機列伝 「アラジンA」
 ⇒ 参考資料 : 「こだわりスロ一覧・高機械割機種一覧」

 この時代で、初の万枚を達成した人は非常に多いことでしょう。
 しかし、その快楽の代償が決して安くなかったことは、この時代を過ごした多く人は知っています。


 射幸性が限界まで達し、多数の破産者が続出する状況の中で、警察の動きを察知したんでしょうか、2002年7月に日電協が自主規制を発表します。

 これは、既存の4号機の各マシンの射幸性の大きさを区分分けすると共に、それ以降は射幸性を抑えたマシンを開発する、というものでした。

 この時に区分されたのは、以下の3つです。

  1) 「自主規制仕様と同等の機能を有する遊技機」
  2) 「適度な射幸性を超えるおそれがあると認められる遊技機」
  3) 「著しく射幸性が高いと認められる遊技機」


 1)は、これから作ろうとするマシンと同じ感じで問題の無いマシンです。

 そして、2)と3)がいわゆる
「4.1号機」と呼ばれるもので、特に後者が「問題マシン」のレッテルを貼られたものです。
 つまり、「4.1号機」は、それに向かって開発されたものでなく、後付けで呼ばれるようになった号機ということです。

 2)は、まったり仕様の初AT機「ゲゲゲの鬼太郎SP」も含まれているため、「AT機」とほぼ同義と思っていいでしょう。
 それに加えて、比較的、波の荒いストック機が選ばれています。

 3)は、発売済み機種では「コンチ4X/4XZ/4XZ-30」、「爆釣」、「一撃」、「アラジンA」の4機種が選ばれました。(その他、この指名が元でお蔵入りになった機種は「アラジンD」、「超獣王S」、「パーレンチャン」、「ジースパイダー」、「大吉」など)

 ⇒ 参考資料 : 「お蔵入り全機種一覧」 ※「赤字の4.1号機」が3)に該当


 そして、ここから「自主規制仕様」に基づいたマシンが開発されますが、これが
「4.5号機」です。

 この自主規制の内容は、簡単に言うと、第4章で述べた4号機中期の規制緩和、「今までは取りこぼした小役の分を機械割に反映させていたが、それを反映させなくてもよい」をヤメて元に戻す、というものです。

 これにより、メーカー発表機械割:120%、実質機械割:140%みたいなスペックは規制され、正確な目押しと押し順を実施し、ちゃんとATをこなした上で120%に収めることがマシン開発指針となりました。

 これは、あくまでも「業界側の自主規制」であり、規定や型式試験方法が変わっているわけではありません。

 初めて「4.5号機」として世に出たのは、ネットの「モグモグ風林火山」でした。


 ちなみに、上記では、自殺者を大量に発生させた(と言われている)史上最狂マシン
「ミリオンゴッド」を挙げていません。

 なんと、2002年7月、日電協が自主規制を発表したその同じ月に、ミリオンゴッドがテスト販売されているのです。
 それは、奇しくも、アルゼが前警視総監を常勤顧問として迎え入れてから2ヶ月後のことでした。

  

 発売元は、日電協に加盟していないアルゼ系の「ミズホ」です。(これ以前も、突飛なシステムのアルゼ系マシンは、必ずミズホから出ています)

 これは、「ぎりぎりセーフ」という感覚だったんでしょうか。
 業界の浄化を模索した「自主規制」の出発が、史上最悪機「ミリオンゴッド」・・・こんな
皮肉なこともありません。

 ⇒ 参考画像 : 懐かしのぱちすろ名機列伝 「ミリオンゴッド」


 「GOD揃いで10万円」の史上最強役、そして通常時のリプレイまでも削って、出玉を極限まで放出モードに特化する仕様は、みなあきれながらも夢中になり、そして破産していきました。

 
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 【2】初めての4号機検定取り消し 〜4.7号機へ

 [1]項の自主規制は、あくまでも「新規開発」に関するものです。既に市場に出てしまった爆裂マシンは野放し状態でした。

 しかし、2003年(平成15年)10月、突如、警察が動き出し、「ミリオンゴッド」、「アラジンA」、「サラリーマン金太郎」が
検定取り消しになりました。

         
(C)本宮ひろ志/集英社/CIA

 本来ならば、爆裂4.1号機問題に関して、

  ・ミズホ : 「ミリオンゴッド」 → 「ゴールドX」
  ・サミー : 「アラジンA」 → 「アラジンS」
  ・ロデオ : 「サラリーマン金太郎」 → 「サラリーマン金太郎S/スロッター金太郎」


 という、各メーカーの代替機が揃っており、合法撤去策が行われるはずでしたが、
「ゴールドX」という問題機が足を引っ張ることになりました。

  

 ただでさえ、アルゼ(ミズホ)だけ代替機の登場が遅くて顰蹙を買っていたところに、いざ導入したら速攻で「押し順無視攻略法」が発覚し、導入中止や導入済みホールでの稼働停止など、業界は大混乱となります。

 
【問題内容】
   逆押しナビが発生した場合、 ナビを無視して、最初に左リールを停止。その時に、液晶画面の一番左の数字が
   「偶数」ならば順押し消化、「奇数」ならばハサミ打ち消化。これで延々とコインが増え続ける。


 これは、単にアルゼが埋め込んだ仕様バグであり、そもそも押し順なんてものはメーカーが勝手に押し付けているいびつな仕様で、実際はプレイヤーはそれに従わなくても問題無いものです。しかも「順押し」と「ハサミ打ち」だけです。

 にもかかわらず、アルゼの公式HPでは、自社のバグを認めず、プレイヤーの行為を「ゴト(犯罪)」呼ばわりしたことから、一番大事なプレイヤーからも大顰蹙を買うことになりました。

 ⇒ 参考記事 : アルゼ公式文書 「ゴールドXの対応に関するお知らせ」


 さらに、パチンコ店の損失による訴訟問題に発展するなど、合法撤去どころではなくなり、最終的に、警察は上記の3機種全てに対しての検定取り消しと強制撤去を決定したのです。

 この一連の問題で、アルゼは爆裂機撤去遅延問題の主犯と見なされ、それ以来、常に何かと警察から目を付けられる存在になってしまいます。


 ちなみに、検定取り消しの理由は以下の通りです。

  
○ミリオンゴッド、サラリーマン金太郎

   押し順によっては、内部成立したリプレイを取りこぼすケースが有り、単位時間あたりのメダル投入枚数が増加
   してしまう事が、施行規則第7条、『1分間におおむね400円の遊技料金に相当する数を超える数の遊技メダルを
   使用して遊技させる事が出来る性能を有する遊技機である事』、に該当。

   検定等規則別表第5、(1)ヘ(イ)の、『遊技の公正を害する調整機能を有しないものであること』に、適合しない。

  
○アラジンA

   AT(アラジンチャンス)中に行われるAT延長抽選に当選すると最大5000回延長になるケース(スーパーアラジン
   チャンス)が有り、この場合、約10時間で75000枚ものメダルを獲得する事が可能な為、施行規則第7条に有る、
   『短時間に著しく多くの遊技メダルを獲得する事ができる性能を有する遊技機であること』に、該当。

   さらに、AT機能が技術介入性を著しく阻害するものであり、問題無しと言えず、これが最大5000回もの間、動作
   する可能性が有る事で、検定等規則別表5(1)ヘ(イ)の『遊技の公正を害する調整機能を有しないものであるこ
   と』に適合しない。


 何を今さら・・・そういうマシンを許可したのは一体、誰なのかと。
 1回、180万円もの型式試験手数料を取っときながら、何を検査してるのかと。

 と、言いたいことは山のようにありますが、それは抑えて(笑


 なお、上記の3機種が指名されたのは、爆裂性と並んで「押し順ナビによる爆裂AT」が警察で問題になったようです。

 取り消し理由の中でも少し触れていますが、もともとスロットマシンが日本で営業許可を受けたのは、ストップボタンの取り付けによる「技術介入性の導入」が決め手になっています。(第1章【4】参照)

 警察としては、法的にグレーゾーンであるパチスロの景品交換問題に際して、「目押し」=「技術介入性」=「遊技」というポリシーは一貫していて、
「目押しいらずでの大量獲得」=「賭博」と見なされるのでしょう。

 こうした理由で、同時期に活躍した、目押し必要な爆裂AT機である「コンチ4X」、「爆釣」、「猛獣王」などは、検定取り消しをまぬがれています。


 さて、その動きを受けてなのか、検定取り消しと同じ月の2003年10月、業界側の自主規制・第2弾が始まりました。
 それは「終日で万枚オーバーしないように設計する」というものでした。これが、いわゆる
「4.7号機」です。

 しかし、日電協の自主規制区分上に「4.7号機」というものは存在しません。
 あくまでも、開発指針の号令をかけただけで、正確には「2003年10月以降の4.5号機」ということになります。

 誰が(どの組織が)、「4.7号機」という言葉を使い始めたのかはわかりません。

 初めて「4.7号機」として世に出たのは、バルテックの「大波-30」とエイペックスの「スタージェミニ」でした。


 この4.7号機ですが、あくまでも「終日での万枚抑止」であり、特に機械割に関する規制ではありません。

 しかし、市場のニーズ的にストック機としての爆裂性が必須であるにもかかわらず、「終日での万枚抑止」の同時達成が必要、というジレンマに陥り、その結果、必然的に高設定域の機械割の低いマシンが出来てしまいます。

 現在、北斗の拳SEを中心とした4.7号機の人気が芳しくなく、メーカーを非難する声もあるようですが、その裏には、
ニーズと規制の板ばさみになっていたメーカーの苦悩があったことを考慮する必要があります。

 それに加え、2004年6月で4号機試験申請の受付が終了するため、特に5〜6月の駆け込みでの検査申請マシンは「不適合=お蔵入り」が確定してしまうことにより、さらに低機械割への傾向に拍車をかけることになりました。


 ところで、4.7号機でも、「おそ松くん2」は設定6で余裕で120%オーバーするし、「New島唄-30」は極端とも言える荒波マシンなのに、なぜ検査が適合したのでしょうか?

 保通協の出玉性能に関する検査内容は、あくまでも「17,500Gを試打して機械割が55%以上、120%未満ならOK」だけです。

 その間の出玉の波について言及することはないし、実際は130%のポテンシャルを持っていても、たまたま検査で120%以内で収まったら合格、とある意味、全くのお役所仕事です。

 それは、上記の後付けの検定取り消し事件が物語っています。

 メーカーがチャレンジャーだった、ということになるんでしょうが、別の意味では「自主規制仕様をないがしろにした」と言われてもしょうがありません。

 型式名で〜2とか〜3とか付いているものは、基本的に、型式試験に持ち込んだ回数を表しています。

 型式名に数字が付いていて機械割の低い機種は、最初は高い機械割でチャレンジしたけどダメで、検定手数料や資料再作成などのことを考慮して、やむを得ず低い機械割として再設計したモノなのかも知れません。


 なお、このあたりでAT機が淘汰されていったのは、警察が禁止したわけでも、業界側が自主規制したわけでもありません。

 AT機の検査に対する、
持ち込み資料の内容が変更になっただけです。

 ⇒ 参考資料 : 回胴式遊技機に係る試験申請について(通知)


 この資料の文面からわかるように、AT機能に関して、かなり厳格な資料提出を求めています。

 実質はAT機を好ましく思っていない警察からの規制(イヤがらせ)に近く、それでも長期間をかけ凄まじい量の資料を作成して検査に持ち込んだメーカーも一部にはありましたが、ほとんどのメーカーはこれを受けてAT機から撤退せざるを得なくなりました。


 
 【3】初めての出玉率規制変更 〜5号機登場

 「行き過ぎたパチスロ」に対して規制が入るのは当たり前ですが、とうとうストック機能そのものにも規制が入ることになりました。今回は、自主規制ではなく、お上からの命令です。

 業界側も、号機に小数点を付けて、必死に主導で自主規制を繰り返してきましたが、爆裂機問題で警察を怒らせた上に、4.7号機になってもやんちゃなメーカーが絶えないため、ついに警察が動いたのです。

 考えてみれば、もともとは過去に違法と見なされたシステムなので、当然の(遅すぎる)規制とも言えますが。。。

 警察が規定変更するということは、もう小数点ではありません。数字が繰り上がり
「5号機」ということになります。


 2004年7月1日、パチンコ・パチスロの規則改正が施行され、新しい規定となる5号機の仕様が発表されました。
 これにより、1992年12月から長らく続いた4号機時代がついに終焉を向かえることになります。

 5号機の規定内容は、以下のサイトで初心者にも非常にわかりやすく書かれているので、是非ご覧ください。

 ⇒ 参考サイト : 回胴式遊戯機理論 「5号機概要」


 パチンコ・パチスロの歴史は、規制と緩和の繰り返しです。

  1) 規定内容が変更され、出玉性能が落ちる
  2) 徐々に合否ギリギリのラインの出玉を狙い、出玉性能がアップする
  3) 規定や検査のスキを突いたアイディアが生まれ、爆裂性がアップする
  4) 各メーカーもそれにならい、爆裂ブームが起こる
  5) 「射幸心を煽る」という理由で規制がかかり、1)に戻る

 しかし、5号機規定では、警察も過去の反省を踏まえてか、「短期間の出玉率」に規制を入れてきました。

  <4号機>
    ・17500Gの試打で55%〜120%未満

  <5号機>
    ・400Gの試打で300%未満
    ・6000Gの試打で150%未満
    ・17500Gの試打で55%〜120%未満


 つまり、今までなら「解釈変更」や「スキを突く」ことで出玉アップが図られるはずの歴史が、今回の場合、仕様ではなく、結果の方を大幅に抑えつけてきたのです。しかも、「成立フラグは全て揃える」ことが前提条件です。

 これでは、どんなアイディアを出したとしても、どうしようもありません。(と、当時は思われていました)

 メーカーも、最初は最低限の爆裂性を保とうと努力していたのでしょうか、規定が発表されてから1年の間に数多くの5号機を検査に通しましたが、全て「不適合」で落とされ、しばらく5号機の姿かたちは全く見えませんでした。


 しかし、ついに2005年7月、初めての5号機として、SANKYOの
「CRP花月伝説R」が登場しました。

 が、それは「パチスロ」ではなく、あっと驚く「パロット」でした。

  

 パロットとは、パチンコ玉で遊技するスロットであり、そもそもはパチンコしか存在しない店でも、シマを改造することなくスロットが導入できることを目的とした遊技機です。

 このパロット、実は、もう何年も前から「もうすぐ出そう」という噂がずっと立ちつつ、結局は出なかったものですが、この「初5号機」という名目と共に、いきなり出てきました。

 しかし、実際は既にパチスロが存在しないホールは極めて稀であり、しかもパチンコとパチスロの換金格差の問題も大きく、今のところ、普及する兆しは全くありません。


 そして初の5号機から遅れること約2ヶ月の2005年9月に、初めての
パチスロ5号機として、ビスティから「新世紀エヴァンゲリオン」が登場しました。

   
(C)GAINAX/PROJECT EVA・テレビ東京

 「異常なほど良いコイン持ち」、「ボーナスとRTが絡み合うまったり仕様」など、5号機仕様を見た人なら、全く予想通りとなるスペックになっていました。

 導入当初は、そのまったり感から少なからず不評が聞こえていましたが、打ち込んでみるとなかなか味が出ることが判明して、今では5号機を代表する機種として挙げられるようになりました。

 しかし、筆者は、これを打ち、派手な連続演出などを見るにつけ、「これは明らかに4号機を想定して作られた演出群なんだろうな・・・」とちょっと悲しくなってきたりもします。

 
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 【4】初めての強制撤去 〜みなし機、吉宗/北斗とのお別れ

 パチスロ界の流行語大賞を獲得しそうな
「みなし機」。その全撤去が、長い噂を経た末に、ついに決定されました。

 「みなし機」とは、もともとは新風営法が施行されて1号機になる前に発表されたマシン、つまりは0号機の総称でしたが、いつの間にか意味が変わって、「3年間の検定有効期限が切れたマシン」を指すようになりました。

 「みなし」とは、通常使われる「みなす」から来ているもので、実際には違うものを、条件などを考慮してそうであると考える事です。

 パチスロでいうと、実際は(検定切れで)違法状態のものだが、現実には大目に見られて、摘発されることなく使用され続けているマシン、という意味になります。(ただし、部品の取り替えやホール間の移動などは不可でした)


 「なぜ爆裂性のほとんど無い純Aタイプやレトロ台まで撤去するのか」という疑問の声が絶えないようですが、上記の通り、もともとは違法機として稼働していたものであり、業界健全化を謳うためのコンプライアンス(法令遵守)の一環なのでしょう。

 2006年5月1日に施行された「風営法違反時の罰則強化(閉店時間の繰り上げ等)」も、同じ理由だと考えられます。

 まぁ、実際には「警察の利権獲得」、「カジノ法の布石」など、色々な噂がありますが・・・この辺りのパチンコ行政には闇の部分が多く、真相は不明です。


 さて、この14万台にも及ぶみなし機撤去は、2006年6月20日を最終期限として粛々と行われましたが、その決定は、実は、[3]項で述べた2004年7月1日のパチンコ・パチスロの規則改正でなされたものです。

 つまり、約2年もの間、新たに決定された法律に対して丸っきり無視され続けていたのです。

 警察も、正式な猶予期間を決めるでもなく、なぁなぁと設置を見逃す状態になり、自分たちで決めた新しい法を自分たちがないがしろにするという、よくわからない状況になっていました。


 しかし、2005年9月頃、ようやく警察が「ぼちぼち取り締ろっか〜」という姿勢を見せ始めたため、これに慌てた業界側(日遊協、全日遊連、日工組、日電協、全商協、回胴遊商、自工会)が11月4日に、「来年の6月20日までに自主撤去するから、もう少し見逃して〜」と陳情します。

 これに対して、警察はその要望を取り入れ、2006年6月20日の
最終期限が決定します。

 今までの押さえつけではなく、今回は業界側からの提案日なので、今までのなぁなぁ設置は許されなくなり、違反店は即摘発もありうる状況になりました。

 そして、長きに渡ってパチスロ界のツートップを張っていた
「吉宗」、「北斗の拳」も、この煽りを受けて、残念ながら撤去を与儀なくされることになりました。

      
(C)武論尊・原哲夫

 ⇒ 参考資料 : 「吉宗・北斗の拳 特製年表」


 
 【5】初めての5号機秀逸アイディア 〜今後の展望

 5号機の初登場から、かれこれ1年近くが経ち、検定通過機種が100、発売機種が50を超えていますが、現状、店にとってのメイン機種は「4.7号機」であり、全く5号機が普及する兆しがありません。

 筆者のホーム(3店舗)に至っては、エヴァンゲリオン導入以来、1台も5号機が入ってきません(これはヒドすぎ)。

 しかし、検定が切れる最後の4号機はロデオの「俺の空」とエマの「イミソーレ-30」で、それは2007年9月30日です。
 つまり、来年の10月には、イヤでも
全ての機種が5号機になるのです。

 ⇒ 参考資料 : 「パチスロ全機種一覧」 ※全マシンの検定切れ期日(最終設置期限日)
 ⇒ 参考資料 : 「補足・最終設置期限(検定切れ期日)について」


 ストック機能や爆裂AT機能などの規制はわかりますが、「400Gの試打で300%未満」の足かせが重過ぎて、4号機の純Aタイプに匹敵するスペックさえ作れないのは非常に痛いところです。

 早くも規制緩和となる「5.1号機」の噂が流れ出していますが、そもそも過去の歴史的に、号機に小数点が付くのは「業界側の都合・規制」を意味するものであるし、警察が「出玉率アップ」を理由に、作ったばかりの規定を変更するなんて面倒な作業をわざわざするとは思えません。

 警察が動くということは、強制的に「6号機繰り上げ」を意味し、その基本目的は
「射幸性の抑止」なのです。

 4号機時代も、様々な機能が追加され大きく発展しましたが、その多くは「解釈の工夫」によるもので、規定自体はほとんど変更されていません。
 
  
【追記】
   2006年10月20日、警察庁より「4号機の設置期限延長、及び規制緩和はあり得ない」のコメントが出されました。
   (「そもそも射幸性の抑制については後退という選択肢はあり得ない」)
 
   これにより、噂されている5号機の規制緩和(5.x号機)の可能性はほとんど無い、と言っていいと思われます。
 
   また、「5号機への移行期間として3年間の経過措置期間を設ける」というルールを、業界側は「あと3年は4号機を
   使える」と勝手に解釈したことにより、そのツケが「2007年6月問題」として、大きく回って来そうです。

   ⇒ 参考記事 : @グリーンべると 「警察庁、4号機の設置期限延長「あり得ない」と釘」


 しかし、5号機において、
「キューティーハニー3」「ボンバーマンビクトリーF」等で、初めて規定の範囲内での秀逸なアイディアを出してきており、一筋の光明を差しています。

 それは、「特定小役揃いをRT終了条件」とするもので、「成立した小役を全て揃える」という検査内容を逆手に取ったものです。

 これにより、キューティーハニー3はカラ回し自動停止(5号機では自動停止時の小役揃い禁止)、またボンバーマンビクトリーFは特定小役を目押しでハズすことでRT延命を可能とし、機械割のアップが図られました。

      
(C)2005永井豪/ダイナミック企画、(C)HUDSON SOFT


 この仕様に対し、パチンコメーカーの組合である日工組は、「そんな解釈でのスペックは有りなの?」と警察に対して質問状を出しました。
 
 「余計なことを・・・」という向きもありますが、今まで全てが「なぁなぁ」で通ってきたところに白黒を付ける、という意味では画期的なことです。

 これに対しての警察の回答は、「キューティーハニー、ボンバーマン、
共に問題なし」でした。

 もちろん、一度、検定を通したのでNGとは言えないのもあるでしょうが、ともかく、RT延命のアイディアは当面は保護されることが決定し、今後のアイディアたちの礎になるのでは、と思います。


 ここまで、6章に渡って、各メーカーにおける革命を中心に歴史を綴ってきましたが、5号機でも、そのような奇想天外な大革命が起こり、パチスロ人気は維持されるのでしょうか?

 それとも、このまま以前のパチンコのように人気が低迷して、人気復活には6号機を待つことになるのでしょうか?

 はたまた、3号機のように、店と地域警察の癒着が次第に強くなり、裏モノ化への道を進むのでしょうか?

 筆者は、もちろん、この「はじめて物語」の続きとして第7章が書けるような、
各メーカーの発明/革命に大きく期待しつつ、ここで物語を終えたいと思います。


 
パチスロはじめて物語 - 完 -


 
 謝辞

 当初は「スロットマシンからパチスロに至る歴史を、わかりやすく伝える」だけの目的で始め、1章が完成した時点でその目的は達成しましたが、「ついでに2号機〜3号機も・・・」、「ついでに4号機も・・・」、「4.5号機と4.7号機の違いも書いとくか・・・」、とかやってるうちに、いつのまにか、現在までの歴史を書き下ろす大作になりました。

 この物語を書くにあたって、エピソードの紹介や記述の誤り訂正をしていただいた、名無しさんを含めた多くの方々、そして、リンク先として快く承諾していただいた各サイトさんに感謝します。


 書ききれなかったエピソード、例えば「パル工業の自主解散と蘇生」、「大東音響、及びマックスアライド(特に角野社長)の波乱万丈な生き様」等、数多くありますが、いたずらに文章を長大化するのもアレなので、またの機会にしたいと思います。

 なお、この物語のほとんどは、管理人のおぼろげな記憶を頼りに書いています。

 したがって、中には誤認識の部分があるかも知れません。何か気付いたこと(ただの感想でも)があれば、気軽に掲示板、又はメールにてお知らせしていただけると嬉しいです。

 パチスロ業界初まとめ管理人@SAR


 第1章 初版 2006年6月7日、 第2章 初版 2006年6月15日、 第3章 初版 2006年6月24日、
 第4章 初版 2006年7月8日、 第5章 初版 2006年7月16日、 第6章 初版 2006年7月30日


 
 
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